我々の暮らしが大きく制約された2020年。自宅で過ごす時間が圧倒的に増え、それに伴って生活圏内で楽しむ術を見いだす人がとても多くなった。 新たな世界のルールがようやく日常となりつつある2021年、〈SOPH.〉と〈nonnative〉の次なるコラボレーションは、新しい時代に寄り添うホームアイテムだ。 普段の生活の延長線からこぼれ出たアイデアが、ひとつの物語として紡がれていく。一家に一台あると有能なステップから、ブレイクタイムに欲しいコーヒーへと話が広がり、 そこに付随するマグカップやホームウェアなど、〈SOPH.〉代表・清永浩文の暮らしにまつわる実用品を〈nonnative〉デザイナー・藤井隆行が、共に形にしていく。今回はその時系列を追ってみることにした。
—まずは、今回のコラボレーションのひとつ「2-step」の製作経緯を教えてください。
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清永:僕がそのとき、ちょうどコーヒーにハマっていてね。家から出られない時期だったから、
これを機にコーヒーを勉強しようと思って、いろいろ試していたんです。
凝り性なのでいろんなギアを買って、自分でドリップしていました。
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清永:上下スウェットでもいいし、上はTシャツで下はスウェットでもいい。
とにかく、堅苦しい格好はしたくない。でも、近所にはそのまま出かけたいって気持ちもある。
宅急便が来たらわざわざ着替えないで受け取りたいしね。そうして、コーヒーからどんどん派生して今回のホームウェアもできた。
藤井:そのウェアもコーヒーで染めようという話になったんです。
しかも、うちのコーヒースタンドから出たカスでやろうってなったから大変でした。
毎日店舗のコーヒーのカスを集めて大阪の工場まで運んで(笑)。
さらに、コーヒーで生地を染めても刺繍は白で残したいというこだわりがあったので、
染色後の生地をまた刺繍にまわして、という工程を踏んで。めちゃくちゃ手間がかかりましたね。
清永:あと、細かい部分だけど、自分が寝るときに首のうしろにタグが当たるのがイヤだから、ロゴはプリントにしてもらったりね。
−マグカップには何かこだわりがあるんですか?
清永:僕がマグカップ好きなんですよ。自宅にいくつあるのか分からないほど。
今でこそ海外出張はないけど、以前は年4〜5回はあったから、滞在先に着いたら街をまず散策するんですよ、マグカップを探して。
藤井:マグカップを探して? おもしろいですね。
清永:土産物屋とか雑貨屋とかでね。で、出張には小さなケトルも持参しているから、
ホテルでコーヒーを淹れて、そのマグで飲むわけ。
いつもマグを買うのが旅先での最初の買い物。すると、自宅にどんどん増えていく。
藤井:今回のマグで言うと、長崎の波佐見焼きなんですが、釉薬にイエローベージュが入っているんです。
マグの見た目は薄いオリーブっぽいんですけど。こういう色がブラウンのマグの他にあると、女性がいる家でも使いやすいと思います。
スタッキングできるから買い足して重ねていけるし。他の既製品も上に乗せられます。
清永:で、今回そのマグと一緒にリリースする小物入れは、実はコーヒーのカスを入れるのにも使える。
玄関に置いてカギを入れてもいいし。灰皿としても勿論使えるけど、他にもいろいろ用途があると思います。
−共作のお話を伺っていると、お互いが阿吽の呼吸というか、仲の良さが伝わってくる気がします。
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藤井:すごいですよね、その価格差は。僕はコラボするとき、その物に対して原稿が2000ワードくらい書けるものにしたいというのがあるんですよ。
大勢を巻き込むのが共作なんだから、それくらい文章が書ける、というか、中身のあるものでないとやりたくない気持ちが強いです。
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藤井 隆行 - Takayuki Fujii
1976年生まれ。奈良県出身。武蔵野美術大学 空間演出デザイン学部を中退後、セレクトショップで経験を積み、2001年より〈nonnative〉デザイナーに就任。以来、独創的で洗練されたモノづくりを展開、〈nonnative〉の世界観を確立してきた。
https://nonnative.com
清永 浩文 - Hirofumi Kiyonaga
1967年生まれ。大分県出身。 1998年〈SOPH.〉を(2002年にSOPHNET.へ改名)、翌1999年に〈F.C.Real Bristol〉を立ち上げる。2008年には〈uniform experiment〉をスタートするなどチャレンジングな戦略でシーンを牽引。また、自身の名を冠した「KIYONAGA&CO.」の実店舗を2017年4月から2019年4月の2年間、福岡市・赤坂にて展開。2020年11月よりオンラインストアへと場を移し再スタート。
https://www.soph.net
https://kiyonagaandco.com